米配給と外食券
戦中戦後と続いて存在したので、前後に分けます。
かんたんなせつめい
米穀通帳… 年に一回貰える。一日分ごとに買えるお米の量を制定されるので、買った分を記録しておく。
外食券… これを持っていないとご飯が外で食べられない、外ご飯許可チケット。ちなみに、ご飯代は別にちゃんと払う。
米配給と米穀通帳
■戦時体制へ本格的に突入し、国内物資の統制と円滑な分配を目的として始められました。ぶっちゃけ言うと、市場経済に統制を掛けなきゃいかんほど、食品市場がやばくなってくる前から把握しようとしたもの。
・以下、お米に関してのこと。
昭和14年4月12日、米穀配給統制法発布。
米の市場価格を政府が管理。
だんだんと食卓が厳しくなって行き、玄米が米の位置になってきます。玄米を食べ慣れていない人はお腹壊しちゃうので、一升瓶に玄米入れて、棒で付いて搗いてから食べる。子供が良くこの仕事をお手伝いしてた。
昭和16年4月1日に米の配給通帳制(六大都市)が始まる。
翌年はそれを食糧管理法として法規制。
・米穀通帳
個人個人が一日あたりに食べる米を細かく規定して、それを米穀通帳で管理していくようになります。
これを持って行かないと、ご飯が買えないのでした。
米穀通帳は戦後も続いたどころか…1982年まで存在は続いたんだぜ…。
いや、さすがに私本人は知らないけど。
実際は昭和40年代くらいで形骸化してしまったそうですが。40年でも大学寮とか病院など、炊飯を委託する場所にお世話になる時にご飯の証明として出すだけで、昭和25年頃には、もう要らなくなっちゃってたけど。
だから配給って云うのは、それを買う権利を貰うって意味でちゃんとお金がないと、そもそも買えないんですが、歴史の授業でそんなこと言わなかったよね。
現代の配給は基本災害時配給なのでただなんだよね。
■また、米だけじゃなくて16年にはパン・小麦粉・味噌・醤油・食用油に砂糖やお菓子(子供用と出産祝い用)あたりが統制され、17年には野菜にまで至ったのでした。
詳しくは東京都の分ですが以下のURLで。
ttp://www.city.chuo.lg.jp/heiwa/shiryo/kikaku/h20_index.pdf
(どうやら都市部を見ていると、戦中においては18年まではなんとか余裕も見えたけど、19年越えるとやばい感じです)
外食券
■前述の米穀通帳は米そのものを買う通帳なので、自炊出来ない人や働いている人は、通帳と必要書類を持って役所に行き、外食券を貰います。
学生さんはどうしてたかって言うと、外食が多い人たちなので生米貰っても困る。いや、食堂に米持って行ったらそれを使ってご飯作ってくれるんだけど、いつも米を一合とか持ってらんないじゃないですか。だから券を貰います。
それが外食券。
・労働の激しさに合わせて甲乙丙とあり、会社員や主婦・学生は甲食の一日二合三勺ぶん、それが朝昼夜と3枚分で一日分。
甲が生玄米で110g(丁度普通のお茶碗一杯炊きあがり量の340gくらい)、丙が190g。
外食券綴り一冊が三〇枚綴りになっていて、毎月貰う形です。
普通の外食券の他、年に一回一〇枚綴りで貰える旅行用外食券や軍人用外食券もあった。
・で、これを食堂に持って行って料理の料金と一緒に払う。食堂の人はそれを集めて、米を買いに行くんです。
ちなみに外食券は米を対象としているので、米以外のうどんやらおかずやらは券は要らない。お金だけでいいんだけど、そのもの自体がないっつー。
まあ、いつの時代にもダフ屋や闇飯屋はあるものですし、食べ盛りの学生は一色に何枚も使っちゃって券が足りない(だいたい一日に4〜6枚使っちゃう)。
あとお弁当も券がないと買えないです。
・あと、普通の一般外食屋さんの他に「雑炊食堂」って云う、食券の要らないお店があって、みんなそこに並んでとにかく腹ん中に何か入れるのでした。まあ、あれですよみんなで色々こう…やりくりをね。それから地方に行って芋やら何やらを農家などから直接買い出しに行ったりするんですけど、他の食料の統制も始まっているので、駅で違法取引した闇の買い出し部隊を取り締まる警官に捕まって没収と説教・場合によっては刑務所にぶち込みのバッドエンドにならないよう、強制捜査にびくびくしながら行ってたそうで。
そんな風だから、買い出しで留守になって欠席、学校でも栄養不足でふらふらする学生も続出。
それもまあ、19年に入ってくるともう食糧事情は切迫して来ちゃって、芋だろうが芋の蔓だろうが、みんな配給になってひもじさ一直線なのでした。
そして敗戦後も外食制は続く、と言うことで後日。
やっと戦後…物語現在年の28年まで遠い…。
■巨匠達が食について語ってます。
『ロッパの悲食記』(ロッパのひしょくき)は、あの古川緑波の随筆。1959年(昭和34年)8月発行。昭和19年と33年の食い物に関する悲惨な話が。ちくま文庫で出てます。
『戦中派虫けら日記』山田風太郎 昭和19年2月11日の項に外食券などの話が。これもちくま文庫で出てます。